仮想通貨取引所を選ぶ際、多くの人が気にするのが取り扱っている仮想通貨の種類ではないでしょうか。特に、上場したばかりのマイナーな仮想通貨やトークンをたくさん扱っている取引所には一種のロマンがあります。そうした仮想通貨には価格が一気に高騰する可能性が秘められているからです。
その点で、日本の仮想通貨取引所は魅力に乏しいのでは?と考える人も多いはず。多いところで数百種類もの仮想通貨を売買できる海外の取引所と比べ、国内取引所は取り扱っている通貨の種類が格段に少ないためです。
しかし、その他の面、例えばセキュリティの強さや経営の透明性、補償やサポートの手厚さに関して言えば日本の取引所の方がむしろ優れていると言えます。不要なリスクを避け、安全に取引を進めたいと考えるなら、国内の仮想通貨取引所をメインに使うのが賢いやり方です。
ここでは国内の仮想通貨取引所について、どのような事業者があるのか、どういった特徴や利点があるのかなど、主に初心者に向けた情報をまとめていきます。ぜひ国内取引所の良さを知って頂き、これからの投資にお役立てください。
これだけある!日本の仮想通貨取引所
現在、日本国内にはたくさんの仮想通貨取引所があります。ですが、取引所と一口に言っても、金融庁の認可を受けているもの、未認可のみなし業者、様々な理由でサービスを廃止したり停止したりしている取引所など状況は様々です。
ここでは、日本国内の仮想通貨取引所を5つのカテゴリーに分けて一覧にしました。なお、カッコ内にはその取引所を運営している企業名を付記しています。
営業中の認可済み仮想通貨取引所
- QUOINE(QUOINE株式会社)
- bitFlyer(株式会社bitFlyer)
- bitbank(ビットバンク株式会社)
- GMOコイン(GMOコイン株式会社)
- BitTrade(ビットトレード株式会社)
- BTCBOX(BTCボックス株式会社)
- BITPoint(株式会社ビットポイントジャパン)
- FISCO(株式会社フィスコ仮想通貨取引所)
- Zaif(テックビューロ株式会社)
- DMM Bitcoin(株式会社DMM Bitcoin)
以上が、金融庁の正式な認可を受けた仮想通貨取引所の一覧です。
このカテゴリーの取引所は最も安全性や利便性が高く、一般ユーザーが安心して利用することができます。
認可済みだがサービスを開始していない仮想通貨取引所
- 株式会社マネーパートナーズ
- SBIバーチャル・カレンシーズ株式会社
- Xtheta(株式会社Xtheta)
- BITOCEAN(株式会社BITOCEAN)
- Bitgate(Bitgate株式会社)
- 株式会社ビットアルゴ取引所東京
以上が金融庁の認可を受けているが、取引所としてはまだ稼働していないものの一覧です。
仮想通貨の世界は状況の変化が速いため、セキュリティ強化やシステム改修などに手間取ったり、思うように経営が軌道に乗らなかったりしてサービス開始に至らないことがままあります。
なお、株式会社ビットアルゴ取引所東京はYahoo!の子会社「Zコーポレーション株式会社」の傘下に入ることが決定し、今年秋ごろのサービス開始が予定されています。
営業中のみなし業者
- みんなのビットコイン(みんなのビットコイン株式会社)
- Lemuria(バイクリメンツ株式会社)
- c0ban(株式会社LastRoots)
- deBit(株式会社deBit)
以上が金融庁の認可を受けていないが、認可申請中のため仮営業を許可されている、いわゆる「みなし業者」の一覧です。
みなし業者はセキュリティや顧客管理体制などに問題があるケースが多いため、利用にはリスクが伴います。事実、今年3月から4月にかけて金融庁は問題のある見なし業者数社に対して一斉行政処分を行っています。
一部または全てのサービスが停止中のみなし業者
- ETERNAL LIVE(株式会社エターナルリンク)
- HIGHSPEED EXCHANGE (FSHO株式会社)
- BDCOIN(ブルードリームジャパン株式会社)
- BMEX(株式会社BMEX)
- コインチェック(コインチェック株式会社)
以上が、前述した金融庁の一斉行政処分の際、業務停止命令を受けた仮想通貨取引所です。
また、今年3月に多額の顧客資産を流出させたコインチェックは、現在マネックスグループに買収され完全子会社化することが決定し、現在は新規ユーザー登録を除いた一部のサービスが再開されています。
事業廃止または廃止予定のみなし業者
- FIREX(株式会社CAMPFIRE)
- 東京ゲートウェイ(東京ゲートウェイ株式会社)
- 来夢(株式会社来夢)
- ビットステーション
- Mr. Exchange(株式会社ミスターエクスチェンジ)
- bitExpress(株式会社bitExpress)
- Kraken(Payward Japan株式会社) ※6月中に廃止予定
以上が、仮想通貨取引所サービスを廃止した事業者の一覧です。
金融庁に認可を申請していた事業者が、運営に必要な安全性や収益性を確保できないと判断し、認可申請を取り下げて仮想通貨事業から撤退するケースも多々あります。
なお、最後のKrakenは海外で人気のある大手仮想通貨取引所ですが、国内では金融庁が求める様々な条件に合致しないこともあり、日本でのサービス提供を断念したと見られています。
以上、5つのカテゴリーに分けて国内の仮想通貨取引所を見てきました。中でも、私たち一般のユーザーにとって最も重要なのが1つめのカテゴリーで紹介した「営業中の認可済み仮想通貨取引所」です。次章ではこれら10社の仮想通貨取引所の特徴を解説していきます。
認可済み仮想通貨取引所の特徴とメリット
ここでは、金融庁の認可を受けた仮想通貨取引所10社の特徴やメリットを解説します。
アジアに拠点を置く大手取引所:QUOINE(コインエクスチェンジ)
QUOINEは日本で最初に金融庁の認可を受けた仮想通貨取引所です。もともとシンガポールやベトナムに拠点を置くアジア最大級の取引所として人気がありましたが、今年2月にはビットコインの取引高日本1位を記録しさらに注目を集めています。
QUOINEのメリットはビットコインの取引手数料が無料である点。また、セキュリティが強いことも安心材料の1つです。反面、アプリの使い勝手があまり良くない点はデメリットといえます。
日本最大の仮想通貨取引所:bitFlyer(ビットフライヤー)
bitFlyerは登録ユーザー数、ビットコイン取引量ともに国内トップクラスの最大手取引所です。知名度も高く、セキュリティやアプリの使いやすさも申し分ないため、初心者に最も適しています。
bitFlyerの最大のメリットは運営が安定していて安全性が高い点。ただし、ビットコイン以外の仮想通貨(アルトコイン)に関しては取引手数料が割高というデメリットもあります。
アルトコイン手数料がお得な取引所:bitbank(ビットバンク)
bitbankはシンプルなサイトデザインと強固なセキュリティが評判の仮想通貨取引所です。
メリットはアルトコイン5種の手数料が日本で1番安い点。投資の選択肢をビットコイン以外に広げるなら使って損は無い取引所です。
デメリットは口座開設が完了するまで時間がかかること。人気が集中しているためか、新規ユーザーにとってはやや使いにくい状況になっています。
高機能のFX専用アプリが売りの取引所:GMOコイン
GMOコインは外為FXの取引高世界1位を誇る一部上場企業、GMOインターネット株式会社が運営する仮想通貨取引所です。
メリットは運営会社の信頼性が高い点と、外為FXのノウハウを生かした仮想通貨FX取引にあります。
特に上級者向けの高機能ツールが充実しているため、FXをメインに使う場合に向いています。ただし、現物取引に関しては手数料が割高というデメリットもあります。
リップルとライトコインに特化した取引所:BitTrade(ビットトレード)
BitTradeはアルトコインの取引手数料が安く、中でもリップルとライトコインを日本で最もお得に取引できる取引所です。
セキュリティの強さとサイトの見やすさも出色で、特にスマートフォンから取引しやすいのが大きなメリットと言えます。
デメリットとしては、それほど大きな取引所ではないので取引量が少なく、思ったように取引が成立しない可能性がある点が挙げられます。
セキュリティとシステムに定評のある取引所:BTCBOX
BTCBOXは2014年のサービス開始以来、一度もサーバーダウンを起こしたことがなく、また不正アクセスの被害にも遭っていない希有な取引所です。また、アプリの使いやすさにも定評があります。
こうした安全性や利便性の高さは大きなメリットになりますが、反面、取り扱っている仮想通貨の種類が少なく、取引量にも乏しい点がデメリットになります。
上級者向けの高機能ツールが揃った取引所:BITPoint(ビットポイント)
BITPointは自動売買プログラムを自作することができる高度な取引ツール「MT4」を採用した仮想通貨取引所です。また、顧客の資産を自社資金と切り離して信託銀行に預けているため、破綻した際の補償も問題なく受けることができます。
メリットは高機能なツールを使って取引できることですが、同時に上級者向けになるため、ユーザー数や取引量が少ない点がデメリットにもなっています。
取引手数料無料の独自トークンが魅力:FISCO(フィスコ)
FISCOは一部上場企業のフィスコが運営する取引所です。
運営企業の信頼性が高いことと、ビットコインの取引手数料が無料である点が大きなメリットです。
また、フィスココインやカイカコインといった独自のトークンを発行している点もユニークです。デメリットとしては、トークン以外の取り扱い通貨が少ない点と、スマホアプリに対応していない点が挙げられます。
ビットコイン手数料が日本最安:Zaif(ザイフ)
Zaifはビットコインを取引すると本来の手数料分がキャッシュバックされる「手数料マイナスキャンペーン」を打ち出していることで有名な仮想通貨取引所です。
最大のメリットはもちろんこの手数料マイナスキャンペーンですが、他にも取り扱っている通貨の種類が多かったり、FXや積立といった多彩な投資方法が選べたりと利点の多い取引所です。ただし、サーバーやシステムに不安定な面があり、たびたび障害が起こる点は注意したいデメリットです。
仮想通貨FXデビューにおすすめ:DMM Bitcoin
DMM BitcoinはDMM.comグループが運営する仮想通貨取引所です。
運営企業の信頼性が高い点と、日本で唯一アルトコインを使った仮想通貨FX取引ができる点が大きなメリットです。
デメリットは現物取引できるのがビットコインとイーサリアムの2種類しかなく、手数料もやや高い点です。FX取引に特化して使いたい取引所と言えるでしょう。
以上が、現在日本国内で金融庁の認可を得て稼働している仮想通貨取引所です。
取引所にはそれぞれに個性があり、得意な点やデメリットが異なっています。次章では日本国内の仮想通貨取引所にはどのような違いがあるのかについてより詳しく見ていきます。
仮想通貨取引所にはどんな違いがあるの?
日本国内にはたくさんの仮想通貨取引所がありますが、法的な位置づけや取引のシステム、機能面などには様々な違いがあります。
ここでは、国内取引所にはどのような違いがあるのかを解説します。大きな違いは以下の3点です。
- 金融庁による認可の有無
- 取引システムの違い
- 得意分野の違い
この章では3つの違いについて詳しく説明していきます。
金融庁による認可の有無
まず、法的な位置づけとして金融庁による認可の有無があります。認可を受けていない取引所は不正アクセス被害や運営企業の破綻といった損害のリスクが高いと見込まれます。口座を開設する際は認可の有無を必ず確認しましょう。
取引システムの違い(取引所と販売所)
仮想通貨取引所には、仮想通貨を売買するにあたって2通りの方法が用意されています。ユーザー同士が取引する取引所方式と、取引所と直接取引をする販売所方式です。
取引所は手数料が安い反面、取引が複雑で相場の流れに利益が左右されやすい傾向にあります。一方、販売所は簡単に売買が成立しますが、手数料が割高になるというデメリットがあります。
仮想通貨取引所によって、どのシステムが用意されているかが異なっているので注意しましょう。両方併設されている場合や、ビットコインのみ取引所でアルトコインは販売所のみといった形もあります。
得意分野の違い
仮想通貨取引所はどこも同じ機能を持っているわけではなく、それぞれに個性があります。例えばビットコインの中長期保有に向いていたり、アルトコインの取引手数料が安かったり、FX取引に特化していたり、高機能なチャートツールがあったりといったようにです。
複数の取引所に登録し、自分の予算や目的、投資スタイルに合わせて使い分けるのがおすすめす。
以上のような違いを知っておけば、自分に合った仮想通貨取引所を選ぶ際の指針になります。
次章では、日本国内の仮想通貨取引所を選ぶ際、どのようなポイントに注目すればいいのか、より具体的に解説していきます。
仮想通貨取引所を選ぶ上でのポイント
仮想通貨取引所を選ぶ際は、安全性を重視してぜひ認可済みの国内取引所の中からチョイスしましょう。
しかし、認可済みの取引所にも個性があり、どこが自分に合っているかすぐに決めるのはなかなか難しい問題です。そこで、ここでは仮想通貨取引所を選ぶ際に注目してほしいポイントについて解説します。
- 扱っている仮想通貨の種類
- 取引手数料の安さ
- サイトとアプリの使いやすさ
1番にチェックしたいのが、その仮想通貨取引所で売買できる仮想通貨の種類です。ビットコインの値動きが低調な今、投資のチャンスはアルトコインにあると見られています。選択の幅を広げるには、なるべく多くの仮想通貨を取り扱っている取引所を選んだ方が有利です。
また、取引手数料についてもよく確認しておきましょう。例えばたくさんのアルトコインが売買できる取引所であっても、手数料が割高だと利益には繋がりにくくなります。取り扱っている仮想通貨の種類が同じであったら、手数料がより安い方を選ぶようにしましょう。
最後に、サイトとアプリの使いやすさも見逃しがちですが重要なポイントです。視認性や操作性が悪いと取引自体がストレスになり、判断ミスにも繋がりかねません。
サイトをぱっと見た際にユーザーインターフェイスが見にくい感じたり、スマホアプリに対する口コミ評価が悪かったり、あるいはアプリそのものが用意されていなかったりする取引所はできれば避けた方が賢明でしょう。
次章では、気になる取引所の安全性について詳しく説明していきます。
日本の仮想通貨取引所は安心?
国内外を問わず、仮想通貨取引所を利用するには一定のリスクが伴います。
仮想通貨取引所は顧客から預かった多額の資産を保有しているため、さまざまな犯罪被害に遭いやすく、特に不正アクセスによる資産の流出や盗難は世界中で大きな問題になっています。
また、仮想通貨取引そのものの歴史が浅い点もリスクの一因です。資金力や人員に乏しいベンチャー企業が仮想通貨事業に多く参入したため、中には経営の安定性やシステムの質、スタッフのリテラシーに問題を抱えている企業も散見されます。そうした企業の取引所が何らかの事件を起こすリスクもゼロとは言い切れません。
こうしたトラブルからユーザーを守るために定められたのが、金融庁による仮想通貨取引所の認可制度です。
認可を受けるためには資本金やセキュリティの質、顧客資産の管理体制などが一定以上の水準である必要があります。そのため認可済みの国内取引所は、みなし業者や海外取引所などと比べて安全性が高く、安心して使うことができると言えます。
ただし、いくら政府が厳しく監督しているからといっても、投資である仮想通貨取引にはリスクが付きものです。仮想通貨の価格が暴落する可能性はもちろん、先述したハッキングや運営トラブルも念のため視野に入れ、分散投資をしたり自前のコールドウォレットを用意したりといった自衛手段を取ることが大切です。
次章では、投資に関わるリスクをできるだけ減らすため、より安全な仮想通貨取引所を見分けるポイントを解説します。
安全な仮想通取引所を探すためのポイント
ここでは、日本国内の仮想通貨取引所からより安全なものを選ぶため、ぜひ確認してほしいチェックポイントを解説します。確かめるべきポイントは以下の3点です。
- 金融庁の認可を受けているかどうか
- セキュリティの水準が高いか
- 顧客の資産管理体制に問題はないか
これまで述べてきた通り、金融庁の認可を受けた仮想通貨取引所は一定の信頼性があると判断できます。みなし業者を使うよりはずっと低リスクですので、特別な理由がない限り、まずは認可業者の取引所を使うことをオススメします。
また、仮想通貨取引所の公式サイトなどから、どのようなセキュリティ対策をとっているか情報収集することも大事です。現在必須とされているコールドウォレット、マルチシグといった対策が取られているかが判断の基準となります。
最後に、顧客の資産をどのように管理しているかもチェックしましょう。金融庁の認可を受けている取引所ならば必ず顧客資産は自社資金と分けて管理されているはずです。
その他にも信託会社や銀行と提携して顧客のお金を保管・保証している取引所もあります。こうした対策を取っている業者の方が、万一のトラブルが起こった際、より安全性が高いといえます。
次章では、日本国内の仮想通貨取引所についての情報をまとめ、重要な項目をおさらいしていきます。
まとめ
これまで、日本国内にある仮想通貨取引所の概要や特徴について解説してきました。以下に重要な項目をまとめます。
- 日本国内で現在稼働している仮想通貨取引所は全部で14社。
- その中で金融庁の認可を受けている仮想通貨取引所は10社。
- 比較的安全性の高い認可済みの取引所がオススメです。
- 仮想通貨取引所にはそれぞれ得意分野があり、複数を使い分けると便利です。
- セキュリティや資産管理体制を確認し、リスクヘッジをしましょう!
日本の仮想通貨取引所の多くは、世界の取引所と比べても見劣りしないだけの水準を備えていると言えます。2018年4月23日には、業界の健全な発展を目指すため、金融庁の認可を受けた事業者16社が集まって「一般社団法人日本仮想通貨交換業協会」という新団体を発足させました。
これにより、今後日本の仮想通貨取引所はより安全に、より便利になっていくことが期待されます。