仮想通貨取引所の仕組みをわかりやすく紹介

仮想通貨を売り買いする際、当たり前のように利用している仮想通貨取引所。しかし、いまさら聞けないこんな素朴な疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。

  • 仮想通貨取引所って絶対に利用しなくてはいけないの?
  • 個人的に取引相手をみつけて売買した方が早いのでは?
  • 取引所を使うとどんなメリットがあるの?
  • テレビやネットで頻繁に広告で見かけるが、取引所って何で儲けているの?

ここではこうした疑問を解決するため、仮想通貨取引所とはどのような仕組みなのか、どのような利点や特徴があるのかといった情報をまとめていきます。仮想通貨って何となく難しそうで取っつきにくいと思っている方は是非お読み下さい。

仮想通貨取引所って何?

仮想通貨取引所とは、「仮想通貨交換業者」という事業者が一般のユーザーに対して提供する仮想通貨の取引プラットフォームです。仮想通貨取引所に実店舗はなく、ユーザーはインターネットを使ってサイトにアクセスして仮想通貨の取引を行います。

現在、日本では「改正資金決済法」という仮想通貨に関する法律が施行されています。この法律によって、仮想通貨交換業者は金融庁の認可を受けなれば取引所を運営してはいけない決まりになっています。認可を受けるにあたっては、資本金やセキュリティ、顧客管理体制、システムの安定性などが一定の水準以上であることが求められます。この認可制があることで、日本の仮想通貨取引所はその安全性や利便性が担保されているのです。

仮想通貨取引所の主な業務は、仮想通貨を売買したいと考えるユーザーをサイト上に集めて、その取引を仲介することです。

原則的に、仮想通貨はインターネット環境さえあれば、個人同士がいつでも自由に売買できるような仕組みになっています。しかし実際は世界中の仮想通貨ユーザーの中から取引相手を探すのはとても困難です。仮にSNSなどを使って取引相手を募り、たまたま条件に合う相手が見つかったとしても、個人情報の漏洩や詐欺などのトラブルに遭う可能性もあります。そこで各企業が仮想通貨取引所という場を提供し、仮想通貨を売買したい個人ユーザーを集めて匿名でマッチングするサービスを提供しているのです。

また、仮想通貨取引所にアカウントを開設する際は本人確認の手続きが必要です。これにより詐欺や不正アクセス、マネーロンダリングなどを目的とした違法なユーザーを排除し、安全に取引ができるようになっています。

さらにトラブル時のサポートサービスや、万一資産が流失してしまった時の補償なども仮想通貨取引所が行ってくれます。


このように、仮想通貨取引所は個人の仮想通貨ユーザーが便利に、また安心して取引できるよう、様々な業務を行っています。次章では、こうした仮想通貨取引所の仕組みをより具体的にみていきます。

仮想通貨取引所の仕組み

ここでは、仮想通貨取引所とはどのような役割や業務を担っているのか、またどのような仕組みで利益を上げているのかについて解説していきます。

仮想通貨取引所の役割

仮想通貨取引所は、ユーザー同士の取引を仲介することを主な役割としています。その際、ユーザーはお互いの個人情報などを相手に知られることなく、安全に取引ができる仕組みになっています。

また、相場が乱高下する際は一時的に注文を制限したり、取引手数料の設定を変えたりなどして仮想通貨の価格が安定するように調整する役割も担っています。

仮想通貨取引所が行う業務

仮想通貨取引所は、主に以下の4つの業務を行っています。

  1. 仮想通貨取引の仲介
  2. 仮想通貨の販売
  3. 仮想通貨の送金
  4. 不正アクセス防止と損失補償

⒈仮想通貨取引の仲介

仮想通貨取引所では、仮想通貨の売買を希望する個人ユーザーが集まり、それぞれに注文を出し合って取引を行っています。この仕組みはオークションをイメージすると分かりやすいかもしれません。仮想通貨取引所の役目はあくまでオークションの会場を提供し、各取引がスムーズに行われるようサポートすることです。一般ユーザーはその会場を利用して、自分の希望する価格で仮想通貨を売ったり買ったりすることができます。

⒉仮想通貨の販売

オークション式の取引所とは別に、仮想通貨交換業者がユーザーを相手に直接仮想通貨を売買することもあります。こちらは一般の小売り商店に近い仕組みです。企業があらかじめ各種の仮想通貨を仕入れておき、手数料を上乗せした価格でユーザーに売ったり、逆に手数料を差し引いた価格で買い取ったりします。

仮想通貨取引所の中でも、この形式で売買を行うものは「販売所」と呼ばれています(取引所と販売所の違いについては後で詳しく解説します)。

⒊仮想通貨の送金

仮想通貨取引所では、仮想通貨を売買する他、自分の口座から別の口座に送金することもできます。例えば海外の家族に仕送りをしたり、仮想通貨対応のショップで買い物をしたりする際は、仮想通貨取引所内に作った自分の口座から送金を行います。

4.不正アクセス防止と損失補償

仮想通貨取引所はさまざまなサイバー犯罪に狙われていて、ハッキングなどによって資産が流出するトラブルが世界中で頻繁に起こっています。これを受け、多くの仮想通貨取引所はセキュリティを強化し、顧客の資産をより安全に管理できるように努めています。
また、万が一顧客資産が流出してしまった場合も、取引所によってはユーザーに全額返金を行うなどの補償策を設けています。

仮想通貨取引所は何で儲けている?

仮想通貨取引所では、ユーザー間で仮想通貨の売買が成立した際に手数料が発生します。
例えば、ある仮想通貨の取引手数料を0.2%と設定している取引所で、その通貨を1万円分購入すると手数料の200円分が差し引かれた金額が口座に入金されます。
仮想通貨取引所では毎日膨大な数の取引が行われています。そのため取引ごとに発生する手数料は仮想通貨取引所の大きな利益になっています。

個人ユーザーとしては、なるべく手数料の安い取引所を選び、不要な取引を何度も繰り返さないようにするなど、手数料を安く抑える工夫をする必要があります。


次章では、仮想通貨取引所で行われている取引の内容や、「取引所」と「販売所」の違いなどについて解説していきます。

仮想通貨取引所ではどんな取引をしているのか

仮想通貨取引所とは、主に個人ユーザー同士の取引を仲介するサービスであることは前に述べました。ここでは、そこで行われている取引が具体的にどのようなものなのか解説してきます。

取引所の仕組み

取引所で行われる仮想通貨の売買はオークション形式をとっています。

取引所には「板」と呼ばれる表示メニューがあり、そこにその仮想通貨をいくらで売りたいのか、あるいは買いたいのかといった注文が並んでいます。個人ユーザーはこの板を読み、自分の納得する価格で売買ができるように注文を出します。

例えば、ある仮想通貨を1枚あたり1万円で買いたいというユーザーと、2万円で売りたいというユーザーがそれぞれ板に注文を出した場合、お互いの希望金額がマッチしないため取引は成立しません。そこで双方が妥協し、1万5千円で売買注文を出し直せば価格がうまくマッチングして取引が成立します。

実際は、たくさんのユーザーが同時に板に注文を出しています。そのため、最も希望者数の多い価格帯がいくらなのかを確認し、相場の流れに合った注文を出すことが求められます。

取引所のオークション形式は、板を読むための経験や仮想通貨相場に対する知識が必要になりますが、自分の納得した価格で注文を出せるという大きなメリットがあります。

販売所の仕組み

一方で、販売所形式という取引方法も存在します。現在、国内の仮想通貨取引所の多くはオークション形式に加え、販売所形式の取引メニューを併設しています。
販売所は仮想通貨取引所を運営する企業が直接ユーザーと取引をする仕組みです。販売所では企業側が提示した価格で必ず取引が成立するため、相場や投資家心理に振り回されず、簡単な操作で確実に仮想通貨を売買することができる点がメリットになっています。
ただし、販売所はオークション形式に比べて手数料がかなり割高なため、頻繁に取引をする場合は不利になります。取引所のオークション形式で納得のいく注文が通らなかった場合などに、サブ的に利用するのがお勧めです。

次章では、本来なら個人間で直接取引できる仮想通貨を、取引所を通じて売買するメリットについて解説していきます。

仮想通貨取引所を使うメリット

仮想通貨はそのなり立ちから、本来は個人同士が気軽に売買できる仕組みを持っています。しかし実際は仮想通貨取引所を利用するほうがずっと安全で利便性が高いため、世界中の仮想通貨ユーザーが取引所を利用しています。

具体的なメリットは以下の通りです。

確実に取引ができる

個人同士で仮想通貨を取引しようと思ったら、まず相手を探すところから始めなくてはいけません。しかし仮想通貨取引所を利用すればその手間は必要ありません。さらに大手取引所の板には多くのユーザーが集まっているため、自分の希望額での取引が成立しやすくなります。

安全に取引ができる 

仮想通貨取引所は不正アクセスからユーザーの資産を守るため、様々な方法でセキュリティを強化しています。

例えば、パスワードに加えてもう一段階多くセキュリティコードを発行する「二段階認証」や、ユーザーの資産をネットから切り離した環境で保管する「コールドウォレット」、運営側が顧客資産を移動させる際に複数人の署名を必要とする「マルチシグネチャー」といった方策があり、これによって取引所はユーザーの資産や個人情報を守っています。そのため、インターネットやブロックチェーン技術に対する専門的な知識がない限り、個人が自分で取引相手を探すよりずっと安全に仮想通貨を売買することができます。

万が一の際のサポートや補償がある

仮想通貨を取引していて分からないことや困ったことがあった場合、取引所のサポート窓口に問い合わせることができる点も大きなメリットです。また、同じ仮想通貨取引所を利用しているユーザー同士がSNSなどで交流し、情報交換をしたり疑問に答えてくれたりすることもあります。

さらに、大手仮想通貨取引所の中には、ハッキングやなりすましによってユーザーの資産が不正に引き出された場合の損失を補償してくれるところもあります。

FXや積立投資など様々な投資方法が選べる

仮想通貨の取引にはオークション形式と販売所形式という2つの方法があり、目的や相場の状況にあわせて使い分けることができます。それに加え、仮想通貨取引所によってはFX取引や積立投資といった独自のサービスを提供しています。こうした取引所を利用することで、投資のチャンスを広げることができます。

次章では、仮想通貨取引所を選ぶ際に重要なポイントについて解説し、どのような取引所がオススメなのか解説していきます。

仮想通貨取引所選びはここを見る!

ここでは、特に初心者の方に向けた仮想通貨取引所を選び方を解説します。
取引所を選ぶ際は、以下のポイントをぜひチェックしてみてください。

取引手数料の安さ

仮想通貨取引所の手数料は、仮想通貨を売ったり買ったりするごとに毎回発生します。一回あたりの金額は少なく感じても積み重なれば大きな損失になるため、まずは取引手数料の安さを一番に重視しましょう。

ただし、仮想通貨取引所の手数料は通貨によって設定が異なります。例えばビットコインの手数料が安くても、イーサリアムやリップルなど他の通貨では割高というケースもあります。あらかじめ欲しい通貨をリストアップしておき、その手数料を取引所ごとに比較して決めるのがオススメです。

扱っている仮想通貨の種類

現在、日本国内の取引所では20種類の仮想通貨が流通しています。ただし、20種類すべてを取り扱っている取引所は今のところありません。

仮想通貨取引所はそれぞれの企業理念や戦略に従って数種類から十数種類の通貨を取り扱っています。そのラインナップは取引所ごとに異なるため、取引所を選ぶ際は自分の欲しい通貨や将来性の高いと見込まれる通貨を扱っているかどうか確認する必要があります。

セキュリティと補償

現在、仮想通貨は様々なサイバー犯罪に遭うリスクを抱えています。自分の資産をハッキングやなりすまし被害から守るためには、セキュリティがしっかりした仮想通貨取引所を選ぶ必要があります。また、もし何らかの被害にあった場合にどの程度補償してくれるのかも大切なチェックポイントです。事前にセキュリティや補償に関する情報を確認し、納得のいく仮想通貨取引所を選びましょう。


以上が仮想通貨取引所を選ぶ際にチェックしたい主なポイントです。
また、一つの取引所のみを利用するのではなく、複数を使い分けるとよりリスクを分散でき、またそれぞれの利点を生かした資産運用ができます。
次章では、仮想通貨取引所の仕組みについて重要な情報をまとめます。

まとめ

ここでは、仮想通貨取引所の仕組みについて、これまで解説してきた情報の中から重要なポイントを整理してまとめます。

  • 仮想通貨取引所とは、ユーザー同士の取引を仲介するプラットフォームサービスです。
  • 取引が成立するごとに手数料が発生し、それが取引所の利益になっています。
  • 仮想通貨取引所を利用するとスムーズで安全な取引をすることができます。
  • 取引所ではオークション方式や販売所方式、FX、積立投資など様々な取引方法を選ぶことができます。
  • 手数料や取り扱い通貨の種類を検討し、自分に合った取引所を複数使い分けるのがオススメです。

本来なら個人同士が直接取引することのできる仮想通貨ですが、現在は取引所を通して売買することがスタンダードになっています。それだけ仮想通貨取引所には高い安全性や利便性があると言えます。

特に、日本の仮想通貨取引所は国の厳しい管理下にあり、特に安心して利用することができます。投資を始める際はぜひその仕組みを知って、仮想通貨取引所を有効に活用しましょう。