仮想通貨取引所はセキュリティで選ぼう

仮想通貨取引所を選ぶ際、どのような点を重視していますか?
取引手数料の安さでしょうか、それとも取り扱っている仮想通貨の種類でしょうか。
どちらも利益を出すためには非常に重要なポイントですが、それ以前にもっと重視しなければいけないことがあります。それが取引所のセキュリティ対策です。

近年、仮想通貨が盗難に遭うケースが頻発しています。取引所そのものからごっそりと顧客資産が盗み出されたり、取引所内の個人口座に不正にログインされたりと手口は様々ですが、いずれの場合もハッカーはセキュリティの隙を突いて犯行に及んでいます。

そして、もし自分の資産である仮想通貨が盗まれてしまった場合、返金を保証してくれる法律は現在のところ存在しません。泣き寝入りするか、いつ行われるかも分からない返金をただ待つことしかユーザーにはできないのです。

トレードで利益を出すための工夫も大切ですが、セキュリティ対策はもっと大切です。
ここでは、仮想通貨取引所のセキュリティや、自分でできる安全対策について詳しく解説していきます。ぜひ今後の参考にして下さい。

どうしてセキュリティが重要なのか

現在、世界中の仮想通貨取引所はハッキングのリスクにさらされています。

日本でも今年1月、大手取引所のコインチェックがハッキングによって約580億円もの顧客資産を流出させてしまいました。

なぜ、仮想通貨取引所はサイバー犯罪の標的になってしまうのでしょうか。それにはいくつかの理由があります。
まず、取引所に多額の資産が集まっていること。また、仮想通貨の性質上、流出してしまうと追跡することが難しく、反対にロンダリングや現金化は容易にできてしまうことなどが挙げられます。

さらに取引所事業の歴史が浅く、セキュリティや技術面のノウハウが蓄積されていないことや、国によって仮想通貨に対する法律がまちまちで補償や規制の体制が整っていないこともハッキングのリスクを高める要因になっています。

では、仮想通貨取引所に対するハッキング攻撃とは具体的にどのようなものなのでしょうか。大きく分けて2つのパターンがあります。

1つは仮想通貨取引所そのものが狙われるケースです。この場合はコインチェックのような巨額の流出事件に発展したり、その後、取引所が倒産したりするケースもあります。


もう1つは個人アカウントが狙われるケースです。ウイルス感染やフィッシング詐欺によって個人情報が流出し、アカウントが乗っ取とられて口座にあった仮想通貨が盗まれるという事例が頻発しています。

いずれの場合も、被害に遭って自分の資産がなくなってしまっても、基本的に損失を補償してもらうことはできません。これは仮想通貨が法定通貨と違って、ペイオフ制度や信託保全といった法的な裏付けによって守られていないためです。

ネットのみで取引が完結し、なおかつハッキングを受けるリスクが高く、法的な補償制度がまだ整っていない仮想通貨は、株やFXといった他の投資方法と比べるとずっとセキュリティ対策が重要になってきます。

そのためには、セキュリティに強い取引所を選ぶことと、個人でできる自衛策を確実に行うことの両面からリスクヘッジをする必要があります。


次章では、個人でできるもっとも基本的なセキュリティ対策のひとつ、2段階認証について解説します。

2段階認証の基礎知識

仮想通貨取引所に預けた自分の資産を守るために、個人でできるもっとも基本的なセキュリティ対策が2段階認証です。ここではその概要やメリット、方法について説明します。

2段階認証って何?

2段階認証とは、ウェブサービスにログインする際、自分で設定したIDとパスワードに加えてもう1つのセキュリティコードを入力するしくみのことです。セキュリティコードはログインするごとに新しく発行されるため、安全性が高く、確実に本人確認ができるという特徴があります。

現在、仮想通貨取引所のほとんどが、セキュリティ対策の一環として2段階認証を採用しています。

なぜ2段階認証を設定する必要があるの?

仮想通貨取引所にIDとパスワードのみでログインしていると、ハッキングやウイルス感染によって個人情報が流出した場合、悪意のある第三者に不正にログインされてしまう可能性があります。

また、取引所によっては不正ログインによって仮想通貨を盗まれた際などに返金補償制度を設けている所があります。しかし、2段階認証を行っていないユーザーは、基本的に補償の対象外になっています。

不正ログインから身を守るため、また万一の際に確実に補償を受けるために、2段階認証を設定して安全性を高めておく必要があるのです。

2段階認証を設定するには?

2段階認証の設定方法として現在最も普及しているのが、Googleが開発した認証アプリをダウンロードして使う方法です。他にもSMSや電話を使ってセキュリティコードを取得することができます。

具体的には、仮想通貨取引所のログイン画面でIDとパスワードを入力すると、あらかじめアプリをインストールしたり、電話番号を登録したりしておいた携帯電話に1度だけ有効なセキュリティコードが送信されてきます。それを入力することで初めてログインできるようになるしくみです。

仮想通貨取引所にアカウントを取得した際、2段階認証を設定しなくても取引をスタートすることができます。しかし2段階認証は誰にでも簡単にできる基本的な安全対策です。自分の資産を守るために、取引をする際には必ず設定しておきましょう。

次章では、二段階認証以外にもある、セキュリティ対策について詳しく説明していきます。

安全に仮想通貨取引所を利用するためのポイント

2段階認証の他にも個人でできるセキュリティ対策はあります。
ここでは安全に仮想通貨取引所を使うために、必ず抑えておきたいポイントを解説します。安全に仮想通貨取引所を使うためのポイントは以下の3つです。

  •  IDとパスワードは使い回さない!
  • セキュリティと補償に強い取引所を選ぶ!
  •  まとまった資産はウォレットに移す!

ポイント1  IDとパスワードは使い回さない!

取引を有利に進めるため、複数の取引所を使い分けるのが仮想通貨ユーザーの常識です。

しかし、複数の仮想通貨取引所にアカウントを作る際、ログイン用のID(メールアドレス)やパスワードを使い回すのは非常に危険です。もし取引所がハッキングされたり、自分自身がウイルスやフィッシング詐欺に引っかかったりして個人情報が漏洩した場合、複数の取引所で同じパスワードとメールアドレスを使っているとすべての取引所の口座が盗難被害に遭ってしまうためです。

基本的な対策ですが、面倒でも取引所ごとにメールアドレスを取得し、パスワードはランダムな英数字を用いた安全性の高いものそのつど作成して使うようにしましょう。

ポイント2 セキュリティと補償に強い取引所を選ぶ!

ハッキングの被害を避けるために、仮想通貨取引所はセキュリティ対策をしっかり行っている所を選びたいものです。また、万一の場合を考え、盗難補償やユーザーサポートが手厚い取引所を選んでおけばより安心です。

セキュリティや補償のレベルを見極めるには、その仮想通貨取引所が金融庁の認可を受けているかどうかを確かめましょう。認可済みの取引所は金融庁の厳しい審査をパスしています。最低限の安全性や顧客管理体制は保証されていると考えられるため、まずは認可取引所をメインに使うことをおすすめします。

ポイント3 まとまった資産はウォレットに移す!

当面、取引に使う予定のないまとまった資産がある場合、仮想通貨取引所の口座に預けたままにするのはおすすめできません。できれば自分で安全性の高いハードウェアウォレットを用意し、そこに仮想通貨を移すようにしましょう。オフラインで保管しておけば、ハッキング被害の心配もありません。

現在、国内で営業している仮想通貨取引所のほとんどがセキュリティ対策に力を入れています。しかし、仮想通貨の取引は基本的にすべて自己責任です。取引所に頼るだけでなく、自分自身で取れる対策はしっかり行っておきましょう。


次章では、国内でも特にセキュリティ対策に力を入れている仮想通貨取引所ベスト3を紹介します。

セキュリティで選ぶ!仮想通貨取引所ベスト3

ここでは、現在国内で営業している仮想通貨取引所の中から、特にセキュリティ対策に優れた3社を紹介します。

bitflyer(ビットフライヤー)

国内最大級の規模を誇るビットフライヤーは、セキュリティ面でも抜きんでて優れています。

基本的な安全対策であるコールドウォレット、マルチシグといった顧客資産の管理技術が導入されているのはもちろんのこと、サーバーやシステム面が安定しているなど技術力の高さも評価されています。

また、万が一の場合に備え、三井住友海上火災保険株式会社と提携して信託保全を結んでいる点も特徴です。この信託保全によって、もしビットフライヤーが経営破綻をしてしまっても、ユーザーの資産は確実に守られることが保証されています。

さらに、ユーザーが不正アクセス被害に遭って仮想通貨を盗まれた場合でも、条件つきながら返金補償してくれる制度があります。補償の範囲は、仮想通貨と日本円を合わせた預かり資産の総額が100万円以上の場合は最大500万円まで、それ以下の場合は最大10万円までです。ただし、補償を受けるには事前に自分で2段階認証を設定している必要があります。

ビットフライヤーは技術レベル、補償やサポートの手厚さ、経営の安定性などにおいて総合的に評価が高く、現時点では国内で最も優れたセキュリティを備えた仮想通貨取引所と言えます。

bitbank(ビットバンク)

ビットバンクはビットフライヤーやザイフなど大手取引所には規模でこそ劣りますが、セキュリティに関しては出色の仮想通貨取引所です。

特徴は、取り扱っている仮想通貨すべてにコールドウォレット対応をしている点。今年1月に起きたコインチェックのネム流出事件で明らかになったように、多くの取引所ではビットコインなど一部の仮想通貨しかコールドウォレットに対応していません。そんな中、すべての通貨をオフライン環境で保管しているビットバンクはアルトコインを取引する人にとっては特におすすめしたい取引所です。

GMOコイン

GMOコインは仮想通貨FXに特化した取引所です。GMOインターネットグループの傘下であるため、経営面が安定していることに加え、系列企業のGMOクリック証券が世界1位のFX取引高を持っていることから、セキュリティやユーザーサポートのノウハウにも優れています。

以上のように、仮想通貨取引所によってセキュリティ対策は様々です。ビットコインをメインに取引するのか、様々なアルトコインを同時に保有しているのか、あるいはFX取引をするのかといった投資のスタイルによっても取引所の安全性は変わってきます。自分の投資スタイルと各社の特色をよく確認し、最適な取引所を選びましょう。

次章では、仮想通貨取引所のセキュリティについて重要なポイントをまとめておさらいします。

まとめ

日々、様々なリスクに晒されている仮想通貨取引所。自分の資産をハッキングやなりすましなどによって失わないために、以下のポイントをしっかり確認しておきましょう。

仮想通貨取引所は決して安全ではない!

ペイオフ制度に守られている銀行預金や、信託保全が義務づけられている外為FXとは違い、仮想通貨取引所に預けた資産は法律によって守られていません。

それに加え、取引所そのものの歴史が浅く、システムやセキュリティ対策、ユーザーサポートなどがまだ発展途上です。そのため悪意のあるハッカーに狙われやすく、国内外で仮想通貨の盗難被害が相次いでいます。

法律で守られていない以上、自分の仮想通貨は自分で守る必要があります。取引所の口座に置いておけば大丈夫という考えは捨て、できる限りの自衛対策を取るようにしましょう。

2段階認証は最も簡単で基本的な安全対策

現在、ほとんどの仮想通貨取引所では2段階認証を設定することができます。

IDとパスワードだけでは、もし個人情報が盗まれた際に不正アクセスから自分の口座を守ることができません。また、補償を受ける際にも2段階認証を設定していることが条件になります。数ステップで簡単に設定できるものなので、2段階認証は必ず行うようにしましょう。

自分でできるリスクヘッジは必ず行っておく

2段階認証だけでなく、ログインの際は強度の高いパスワードを使う、複数の取引所を使う場合はIDやパスワードを使い回さない、まとまった資金はウォレットに移すなど、基本的なセキュリティ対策は他にもあります。いずれも簡単に実行できる対策ばかりなので、忘れずに行っておきましょう。

セキュリティに力を入れている取引所はビットフライヤー!

金融庁が正式に認可した国内仮想通貨取引所の中でも、ビットフライヤーは最も安全性が高いと言えます。特にビットコインをメインに取引し、長期保有を考えている人にはおすすめの取引所です。

他にも、アルトコインを多く持っているならビットバンク、FXをするならGMOコインがセキュリティに強く安心です。自分の投資スタイルに合わせて最適な取引所を選びましょう。


仮想通貨は価格変動の幅が広く、短期間で大きな利益を狙える反面、ハッキングや取引所の倒産などによって一瞬で資産をすべて失ってしまうリスクも抱えています。
大切な仮想通貨を守るため、自分でできるセキュリティ対策を一つ一つ確実に行って日頃から備えておくことが大切です。