生まれ変わったコインチェック(coincheck)の実力は?
今年1月、およそ580億円相当もの仮想通貨ネムが不正に流出したというニュースが世間に衝撃を与えました。被害を受けたのは当時トップクラスの人気を誇っていた国内の仮想通貨取引所、コインチェックでした。事件の原因としてコインチェック側のセキュリティ体制に不備があったことなどが指摘され、当時の経営陣は多くの批判を浴びることになりました。
事件から10ヶ月以上が経った今、コインチェックは経営体制を新しくし、停止していたサービスを順次再開して復活しようとしています。ここでは、新しく生まれ変わったコインチェックについて、そのメリットやデメリット、セキュリティや補償はどうなっているのか、今後の展望などについて解説していきます。これからコインチェックを使ってみようと考えている方も、ネム流出事件後は利用を止めていた方にも、是非読んで頂きたい内容になっています。
コインチェック(coincheck)とは
コインチェックは2014年にサービスを開始した仮想通貨取引所です。日本の取引所では老舗の部類に入り、使いやすいサイトデザインと豊富な取扱い仮想通貨の種類で多くのユーザーから愛用されていました。
しかし、2018年1月にハッキングによって顧客の仮想通貨ネムが大量に流出する事件が起こり、財務省関東財務局より業務改善命令を受けた後、4月にはマネックスグループ株式会社の買収により完全子会社となりました(なお、損害を受けたユーザーすべてに全額補償が行われています)。
その後、経営体制やセキュリティを見直し、10月にはそれまで停止していたユーザー向けサービスが再開されました。現在では新規口座の開設や一部の仮想通貨の取引が通常通りできるようになっています。
また、今後はさらにレバレッジ取引やアフィリエイトプログラム、日本円のコンビニ入金、「Coincheckcoincheck Payment」や「Coincheckでんき」といった新しいサービスの導入も予定されています。
ハッキング被害を乗り越え、新しく生まれ変わったコインチェックの今後の発展に多くのユーザーが期待を寄せています。
コインチェック(coincheck)の5つの特徴
経営体制を刷新したコインチェックには以下の5つのメリットがあります。
- 経営母体が安定している
- サイトが見やすく使いやすい
- 専用アプリが優秀
- 取り扱っている仮想通貨の種類が多い
- 不正ログインに対する補償制度がある
それでは、ひとつずつ解説していきます。
1.経営母体が安定している
コインチェックはネム大量流出事件後、マネックスグループの傘下に入って経営体制を一新しました。現在の経営母体であるマネックスグループは大手で経営が安定している上、オンライン証券を運営してきた実績から仮想通貨事業にも強い企業です。
マネックス傘下に入ったコインチェックも、今後は経営がより安定し、システムやセキュリティの信頼性が高まると見られています。
2.サイトが見やすく使いやすい
ネム大量流出事件以前から、コインチェックはサイトデザインが見やすいことでユーザーから高い評価を得ていました。現在も優れたユーザーインターフェイスは変わらず、チャートや取引画面が非常に見やすく使いやすい作りになっています。そのため、特に初心者の方にとってコインチェックは使い勝手のいい仮想通貨取引所と言えます。
3.専用アプリが優秀
ユーザーインターフェイスだけでなく、コインチェックはアプリが優秀なことでも有名です。
専用アプリを使えばスマホからでも簡単にチャートを確認したり、仮想通貨を取引したりすることができます。さらに複数の仮想通貨を一覧で表示する総資産画面や、お気に入りの仮想通貨をチェックしやすくするウィジェットなど便利な機能が揃っています。
4.取り扱っている仮想通貨の種類が多い
コインチェックで取引できる仮想通貨は現在9種類と、国内の仮想通貨取引所ではトップクラスの豊富さです。コインチェックに口座を持っていれば、複数のアルトコインに分散投資をしてチャンスを広げることも、リスクヘッジをすることも可能です。
5.不正ログインに対する補償制度がある
コインチェックは国内で唯一、不正ログイン被害に対する補償制度を設けています。これは一度の被害につき100万円まで補償してくれる制度で、近年なりすましによる被害が相次いでいることを考えると非常に手厚い対応と言えます。
次章では、コインチェックのデメリットについても解説していきます。
コインチェック(coincheck)のデメリット
初心者にもやさしく、使いやすさと取扱通貨の豊富さでいまだに根強い人気を持つコインチェックですが、デメリットはあるのでしょうか。
以前からユーザーの間では、販売所のスプレッドが高いという不満がよく聞かれます。スプレッドは販売所形式で仮想通貨を売買する際の実質的な手数料で、コインチェックではビットコイン以外のアルトコインを取引する時にスプレッドがかかってきます。
コインチェックのスプレッドは平均して取引額の2%程度で、場合によっては6%程度にまで跳ね上がってしまうこともあります。これは海外の仮想通貨取引所と比べるとかなり高い比率になります。
短期間にトレードを繰り返す場合は手数料がかさむため、コインチェックのスプレッドは大きなデメリットになります。ただし、アルトコインを中長期でじっくりホールドする投資方法を取る場合はそれほど気にならないと言えるでしょう。
次章では、コインチェックが取り扱っている仮想通貨の一覧を紹介します。
コインチェック(coincheck)の取扱通貨一覧
ここでは、コインチェックで売買することのできる仮想通貨を紹介します。
- ビットコイン
- イーサリアム
- イーサリアムクラシック
- リップル
- ライトコイン
- リスク
- ネム
- ビットコインキャッシュ
- ファクトム
コインチェックが取り扱っているのは上記の9種類です。
なお、現在リップルとファクトムは取引が停止されていますが、近日中にも復活すると見られています。
次章は、コインチェックはどのような人に向いているのか解説します。
こんな人はコインチェックがオススメ!
コインチェックの利点を最大限に生かせるのはどのようなユーザーでしょうか。筆者は特に、以下のような人にコインチェックをおすすめします。
- 仮想通貨トレードを始めたばかりの人
- 様々なアルトコインに興味がある人
- 中長期でトレードをする人
仮想通貨トレードを始めたばかりの人
コインチェックのユーザーインターフェイスの見やすさやアプリの使いやすさは国内外でもトップクラスです。サイトが使いにくいと、誤発注をしたり取引のタイミングを逃したりといったチャンスロスに繋がります。初心者は特に使いやすさを第一に考えて仮想通貨取引所を選ぶことをおすすめします。
様々なアルトコインに興味がある人
コインチェックでは9種類という国内では最多クラスの仮想通貨を取り扱っています。中でもリスクやファクトムといったアルトコインは取り扱っている所が少ないため、コインチェックは貴重な取引所です。
また、仮想通貨の取引は、リスクヘッジのため分散投資をするのが鉄則と言われています。取り扱っている通貨が多いコインチェックはリスクヘッジを重視する人にも最適です。
中長期でトレードをする人
コインチェックのデメリットであるスプレッドの高さは短期トレードをする場合に大きなネックになります。ただし、長いスパンで仮想通貨を保持し、じっくり値上がりを待つ場合はそのデメリットもさほど気になりません。中長期で仮想通貨の取引を考えている人にとってコインチェックは利点の多い取引所と言えます。
次章では、コインチェックの手数料についてより詳しく解説します。
コインチェック(coincheck)の手数料一覧
コインチェックが設定している各種手数料は以下の通りです。
日本円の出入金手数料
- 銀行振込:無料(振込手数料は要負担)
- コンビニ入金:756円(3万円未満)、1000円(3万円以上30万円以下)
- クイック入金:756円(3万円未満)、1000円(3万円以上50万円未満)
- 出金:400円
仮想通貨の送金手数料
- BTC:0.001 BTC
- ETH:0.01 ETH
- ETC:0.01 ETC
- LSK:0.1 LSK
- FCT:0.1 FCT
- XRP:0.15 XRP
- XEM:0.5 XEM
- LTC:0.001 LTC
- BCH:0.001 BCH
ビットコイン取引手数料:無料(取引所方式)
アルトコイン取引手数料:2~6%程度(販売所方式)
ビットコインの手数料無料は魅力的だが……
コインチェックの取引手数料は2系統に別れています。1つはビットコインを取り扱う取引所方式で、こちらは手数料が無料です。
もう1つはビットコイン以外の仮想通貨(アルトコイン)を取り扱う販売所形式で、こちらにはスプレッドと呼ばれる実質的な手数料が設定されています。
スプレッドは通貨やその時の相場によってバラつきがありますが、コインチェックの場合、およそ取引額の2~6%程度が平均値となっています。これは他の国内仮想通貨取引所と比較すると同じ程度の水準か、やや割高な設定です。コインチェックでアルトコインを取引する際は手数料がかさまないように気をつける必要があると言えるでしょう。
次章では、過去に巨額流出事件を起こしたコインチェックの、気になる現在のセキュリティ体制について解説します。
コインチェック(coincheck)のセキュリティについて
1月にネムの巨額流出事件を起こしてしまったコインチェックですが、現在のセキュリティ体制はどうなっているのでしょうか。
事件後、マネックスグループ傘下で経営再建を進めているコインチェックは、社内にセキュリティ対策部署を新設し、セキュリティ体制の見直しと再構築に取り組んでいると発表しています。今年10月に一部のサービスが再開されたことから、こうした対策に一定のめどがついたと考えられます。
また、当然、顧客資産と社内資金の完全分離や二段階認証、SSL暗号化通信、パスワードの強度チェック、アカウントロック機能といった従来のユーザー向けセキュリティ対策も完備されています。
ハッキング被害に遭った後だからこそ、コインチェックのセキュリティは他と比べてより万全な状態にあると考えることができます。
次章では、コインチェックが導入したユニークな不正ログイン補償制度について解説します。
国内初!コインチェックの不正ログイン補償とは?
現在、国内外の仮想通貨取引所では、悪意ある第3者がユーザーになりすまして口座の仮想通貨を盗み出す不正ログインの被害が相次いでいます。
コインチェックはこうした現状を受け、ユーザーの資産を守るため、東京海上日動と提携して「不正ログインにかかる損失補償制度」を開始しました。
これは不正ログインによって被った損失を最大100万円まで補償するという国内では初となる画期的な補償制度です。もし万が一なりすまし被害にあって仮想通貨を不正に引き出されてしまっても、コインチェックなら1回の請求につき100万円まで返金補償に応じてくれます。不正ログイン犯罪が頻発する今、こうした制度を設けている点は大きな安心材料になります。
ただし、補償の対象となるのは二段階認証を設定しているユーザーアカウントのみです。万が一のリスクに備えるため、必ず二段階認証は設定するようにしましょう。
次章では、新生コインチェックのスペックを筆者が独自に評価し、5段階で格付けします。
コインチェック(coincheck)の評価
ここでは、コインチェックを独自の視点から5段階評価で格付けします。
コインチェックは☆4評価!
ユーザーインターフェイスやアプリの優秀さと、取り扱っている仮想通貨のラインナップ、セキュリティと補償制度といった点を考慮すると、コインチェックは国内トップクラスと実力を持っていると言えます。
一方、デメリットであるスプレッドの高さと、現在もまだ一部のサービスが再開されていない点を差し引き、☆4としました。
ただし、コインチェックはいまだに根強い人気を持ち、ユーザーの間では完全復活も近いという口コミも多く聞かれます。今後の展開に期待が持てる有望な取引所といえるでしょう。
次章では、コインチェックに関する重要なポイントをまとめておさらいします。
まとめ
これまでの内容を短くまとめました。ここさえ読めば、新生コインチェックの基本的な情報が分かります。
- ネム流出事件後、コインチェックは運営体制が刷新されました
- マネックスグループ株式会社の傘下に入り完全子会社化されました
- セキュリティ部門が新設され、ハッキング対策が強化されています
- 停止されていたユーザー向けサービスの大部分が再開されました
- サイトの使いやすさ、取扱い通貨の多さといったメリットは変わらず
- レバレッジ取引やアフィリエイトなど新サービスも導入予定です
一時期はほとんどのサービスが停止されていたコインチェックですが、現在は新しい運営体制のもと、機能的にはほぼ復活したと言えます。
以前と同様に使い勝手がよく、新サービスの展開も予定されているため、今後は再び国内ユーザーからの支持が集まると考えられます。