目次
- 1 はじめに
- 2 Segwit2X(セグウィット2X)について知っておくべきこと
- 2.1 UASFとUAHFの妥協案として生まれた
- 2.2 2MBハードフォークを実施予定
- 2.3 ニューヨーク協定(NYA)で中国マイナー14社がSegwit2Xを支持。
- 2.4 クライアントソフトとして「btc1」を使用
- 2.5 Segwit2Xは「BIP91」で提案され、マイナーの80%の賛同でソフトフォークが可能
- 2.6 コア開発者はSegwit2X(セグウィット2X)に反対
- 2.7 Segwit2X(セグウィット2X)には、リプレイ攻撃対策がない
- 2.8 Segwit2Xには、開発者がひとりしかいない
- 2.9 Segwit2Xコインの誕生はありえるのか
- 2.10 Bitfinex(ビットフィネックス)では、Segwit2Xの先物取引が行われている
- 3 最後に
はじめに
今回は、ビットコイン分裂騒動でよく聞くSegwit2xについて整理してみます。
Segwit2X(セグウィット2X)について知っておくべきこと
Segwit2X(セグウィット2X)について知っておくべきことを整理しておきます。
UASFとUAHFの妥協案として生まれた
Segwit2Xは中国マイナーの代表格として知られるビットメイン社によるUASFとコア開発者によるUASFの間の妥協案として生まれました。
参考:UASF
User Activated Soft Forkの略称。マイナー主導ではなく、ユーザー主導でソフトフォークをアクティベートしようという試み。
参考:UAHF
User Activted Soft Forkの略称。具体的には、2017年8月1日にBitmain社により行われるビットコインコアからの独自分裂のことを指す。
コア開発者については、以下の記事に整理していますので、お手すきの際に読んで頂けると幸いです。
2MBハードフォークを実施予定
Segwit2X(セグウィット2X)は、2MBハードフォークを実施予定です。
参考:Segwit2X(セグウィット2X)では、2017年8月1日に、セグウィットを実装した後に、2MBへのブロックサイズの引き下げを行うことを計画しています。ただ、2017年11月2日現在、Segwit2X(セグウィット2X)に対し支持を表明するマイナーは減少しており、Segwit2Xが誕生しない可能性も取り沙汰されています。
ニューヨーク協定(NYA)で中国マイナー14社がSegwit2Xを支持。
ニューヨーク協定で、中国マイナー14社により、Segwit2Xを支持することが合意されました。「Segwit2X」では、まずはビットコインに「Segwit」を実装し、3ヶ月後にハードフォークを行い、ブロックサイズを1MBから2MBに引き上げることを計画しています。
参考:ニューヨーク協定
ニューヨークで開催されたConsensus 2017にあわせて実施されたハードフォークに関する合意。DCG(デジタル・カレンシー・グループ)のバリー・シルバートによって主導された。最大手マイナーBitmainを含む21ヶ国56社で合意が行われた。国内では、bitFlyer(ビットフライヤー)が参加した。コア開発者は参加していない。また、DCGから出資を受けているBlockstreamのCEOを務めるアダム・バックは本協定に対し反対している。
クライアントソフトとして「btc1」を使用
「btc1」はSegwit2X陣営が採用しているクライアントです。ただ、「btc1」のノードはコアノードに比べれば圧倒的に少なく、コア開発者は「btc1」をサポートしていません。
Segwit2Xは「BIP91」で提案され、マイナーの80%の賛同でソフトフォークが可能
Segwit2Xでは、Segwitのアクティベーション閾値を95%から80%に引き下げる「BIP91」を採用しています。BIP91とは、より安全性の高いUASFであり、2017年7月21日にロックインされ、2017年7月23日に有効化されました。
これまでのBIP9の規定では、95%以上のマイナーがソフトフォークに賛成する必要がありましたが、「Segwit2X」の規定では、80%の賛同でソフトフォークが可能です。
補足:BIPとは、Bitcoin Improvement Proposalの略称で、各開発者から提案される技術に関するドキュメントです。BIPの代表的なところで言うと、以下があります。
- BIP-9:ソフトフォークの導入方法を規定した手順
- BIP-91:Segwit2x陣営が採用。BIP-9に準拠したSegwit実装に向けた手順のこと。
- BIP-148:UASFのこと。Segwit導入を促す手順
コア開発者はSegwit2X(セグウィット2X)に反対
コア開発者は「コンセンサスルールの更新は慎重に進めるべき」として、Segwit2xに反対しています。ビットコインコアは、「Segwit2x」のクライアントである「btc1」をサポートしておらず、接続を切ることを決定しています。
Segwit2X(セグウィット2X)には、リプレイ攻撃対策がない
コア開発者からの指摘で、Segwit2xにはリプレイ攻撃対策がないことが指摘されています。
segwit2x’s lack of a hard-fork bit and replay protection creates a high risk of users getting defrauded, both HF supporters and not.
訳:segwit2xがハードフォークビットを持たず、リプレイ保護機能を持たないため、HFサポーターでもなくても、ユーザーが詐欺に遭うリスクが高くなります
This is even worse than the ETH/ETC fork actually, as in addition to replay attacks, you also have lite clients accepting the wrong chain.
訳:これは実際にETH / ETCフォークより悪いです。リプレイ攻撃に加えて、不正なクライアントが誤ったチェーンを受け入れることもあります。
Segwit2Xには、開発者がひとりしかいない
Segwit2X(セグウィット2X)には、開発者がJeff Garzik(ジェフ・ガルジック)のひとりしか存在していません。
ビットコインのコア開発者は400人程存在すると言われていますから、その差は歴然ですね。こうした理由から、Segwit2X自体が成り立つのかと疑念を抱く人も存在します。
Segwit2Xコインの誕生はありえるのか
Segwit2Xを行う場合、「Segwit2Xコイン」という新たなアルトコインが生まれる可能性があります。しかし、実際に誕生するかどうかはわかりません。
結局、ハーフドフォークは起こらずに、ビットコインもビットコインキャッシュも値上がり!みたいなシナリオが一番見込みがあるかなあと思います。
Bitfinex(ビットフィネックス)では、Segwit2Xの先物取引が行われている
驚くべきことに、香港を拠点とする仮想通貨取引所Bitfinex(ビットフィネックス)では、Segwit2X(セグウィット2X)の先物取引が行われています。
ビットフィネックスの特徴については以下の記事をご覧下さい。
最後に
2017年11月にハードフォークするかどうかに注目が集まります。
個人的に、最もありがたいシナリオとしては、Segwit2X(セグウィット2X)が実装されるが、リプレイプロテクションが無いことから攻撃を受けてしまい、ビットコインキャッシュに資金が流入し、バク上げするような未来です。
ビットコインキャッシュについては、以下の記事で整理していますので、お手すきの際に読んで頂けると幸いです。