仮想通貨取引所は複数使いが常識です

あなたは今、いくつの仮想通貨取引所に口座を持っていますか?
仮想通貨ビギナーの方なら1社だけと答えるかもしれません。しかし、1つの取引所にすべての資産を集めて運用することは思わぬリスクに繋がるためおすすめできません。

例えば仮想通貨取引所がハッキングに遭って顧客資産が流出した場合や、取引所そのものが倒産してしまった場合、口座に預けていた全資産は一瞬で失われることになります。その点、いくつかの取引所を同時に使い分け、複数の口座に資産を分散させていればこうしたリスクは避けられます。

それだけではなく、実は取引所の複数使いには投資を賢くお得に進めるためのメリットがたくさんあります。口座開設に多少の手間はかかりますが、それを補って余りあるほどの恩恵を受けられることは確実です。

まだ1社しか口座を持っていないという方はぜひ、この記事の情報をもとに取引所の複数使いを初めてみてください。

複数の取引所を使うメリット

いくつかの仮想通貨取引所を同時に使い分けると、多くのメリットを得ることができます。ここではその利点を一つずつ解説していきます。

取引手数料の節約ができる

最も大きなメリットは取引手数料を安く抑えることができる点です。

同じ仮想通貨でも取引所によって取引手数料は異なっています。例えばビットコインの現物取引手数料の場合、国内の大手仮想通貨取引所3社では以下のように設定されています。

  • bitFlyer 0.01%〜0.15%
  • bitbank 0%(無料)
  • Zaif -0.05%〜-0.01%(手数料分のBTCがキャッシュバックされる)

最大0.15%程度の手数料がかかる取引所、一律無料の取引所、逆に取引した分だけ手数料相当のビットコインをキャッシュバックしてくれる取引所など、それぞれ特色があることが分かります。いずれも数値としてはわずかな違いですが、大口の取引をしたり、頻繁に売買を繰り返したりすると大きな差額になってきます。

また、ビットコインの以外の仮想通貨(いわゆるアルトコイン)の場合は取引手数料の差がより顕著です。特にマイナーな仮想通貨ほど手数料の設定額が大きく異なる傾向にあります。さらに日本円や仮想通貨を出入金する際や、FX投資をする際の手数料も取引所ごとにかなり違っています。

取引手数料の節約は仮想通貨取引をする上で避けては通れない課題です。せっかく得た利益を目減りさせないために、欲しい仮想通貨を最も安い手数料で売買できる取引所を探す必要があります。その点、複数の仮想通貨取引所に登録しておけば、例えばビットコインを取引する時はA社、イーサリアムならB社、FXをする場合はC社、他の場所に送金するため通貨をプールしておく口座はD社といったように目的ごとに最も手数料の安い取引所を選んで使い分けることができます。

様々な種類の仮想通貨を買うことができる

手数料と同様に、取り扱っている仮想通貨の種類も取引所によって異なります。ビットコインはすべての仮想通貨取引所で売買することができますが、それ以外の仮想通貨の取り扱い数は取引所によって0〜10種類以上と大きな開きがあるのです。

現在、ビットコインは基軸通貨として普及している一方、その値動きは低調で急激な変動は見込めません。そのため大きな利益を出す可能性は低いとされています。
一方、まだ価格が安く、値動きも大きい傾向にあるのがビットコイン以外のアルトコインです。特にマイナーな通貨ほど大化けの可能性を秘めています(同時に暴落のリスクもありますが)。

いくつかの仮想通貨取引所を使い分ければ、より多くのアルトコインを売買することができ、投資成功のチャンスを大きく広げることができます。

投資方法の幅が広がる

取引所では、仮想通貨をなるべく安く買って高く売るというシンプルなルールで取引が行われています。株などと同様にチャートや投資家心理を読んで、ホールドしたり売り抜けたりといった駆け引きをしながら差額で利益を出していきます。

しかし、それ以外にも仮想通貨FXや積立投資といった投資方法を用意している取引所があります。
仮想通貨FXでは、従来の外為FXと同じようにレバレッジを適用してトレードをすることができます。少額の資金でも大きな金額の仮想通貨を売買することができるようになるため、短期間でより多くの利益を狙うことができます。現在、多くの仮想通貨取引所がFX取引サービスを提供していますが、中にはGMOコインなどのようにFX事業に特化した取引所もあります。

また、Zaifなどが提供している積立投資も多角的なポートフォリオ形成に役立ちます。積立投資は毎月決まった金額の仮想通貨を購入して積み立てていく商品です。その時点で最もお買い得な通貨を取引所側が自動で選んでくれるため、チャートを睨みながらあれこれ悩む時間も節約できます。

通常の取引用とは別に、こうした取引所をFX専用や積立専用として用意しておけば、投資の幅をより広げて資産形成に役立てることができます。

トラブル時のリスクヘッジになる

多額の資産を保有している仮想通貨取引所は、常にハッキングによる盗難被害のリスクを抱えています。また、浮き沈みの激しい仮想通貨業界の中で、取引所そのものが経営難によって倒産する可能性も大いにあります。

もし取引所に預けていた自分の仮想通貨が盗まれたり、あるいは取引所そのものが潰れたりした場合でも、無くなった資産を返してもらえる保証はありません。そのため、特にまとまった金額を運用する場合は、自分自身でハッキングや倒産に対するリスクヘッジをしっかりしておく必要があります。

その時に最も基本的な対策となるのが、複数の取引所に資産を分散しておくことです。万が一そのうちの1社の口座に預けた仮想通貨が無くなっても被害は最小限で済み、全財産を失うという最悪の事態は避けることができます。

また、不正流出とまではいかなくても、システム障害や金融庁の行政指導などによって取引所の機能が一時的に停止するケースもあります。そうした時も、複数の仮想通貨取引所に資産を分散させておけば、他の取引所で売買を続けることができます。このように取引所の複数使いは、リスクヘッジだけでなく投資のチャンスロスを回避するためにも有効と言えます。

取引所間の価格差を利用して利益を出すこともできる

仮想通貨の価格は全世界一律ではなく、取引所ごとに少しずつ異なっています。同じビットコインであってもA社では1万円、B社では1万100円といったように多少の差があるのです。

この差額を利用して利益を出す手法をアービトラージと呼びます。例えば、A社から1万円で買った1BTCをB社に1万100円で売れば、差額である100円の儲けを得ることができます。

複数の仮想通貨取引所に口座を持っておけば、このアービトラージを行って投資の選択肢を増やすことも可能です。

アプリやツールで取引がより便利になる

仮想通貨取引所は自社ユーザー向けに独自の取引用アプリやツールを開発し提供しています。例えばスマートフォンやタブレットからの操作に特化したシンプルで軽いアプリや、複数のチャート機能を備え高度な分析ができる上級者向けPCツールなど、取引所によってそれぞれに特色があります。

自分が初心者なのか上級者なのか、スマホから頻繁にトレードするのか、PCでじっくり分析したいのかといった投資スタイルに合わせて各種ツールを使い分ければ、より有利に賢く投資を行うことができます。

海外取引所でも売買することができる

現在、日本国内の仮想通貨取引所は金融庁の認可制になっていて、セキュリティや経営体制に問題がないと判断された業者のみが営業を行っています。また仮想通貨そのものも同様に金融庁のチェックを受け、信頼性に問題ないものだけが国内での流通を許されています。

そのため、国内の仮想通貨取引所は比較的安全性が高く、安心して自分の資産を預けることができると言えます。その反面、取り扱う仮想通貨の種類は大幅に制限されていて、世界に数百種類あると言われるマイナーなアルトコインのほとんどは国内で売買することはできません。
もしもハイリスク・ハイリターンなアルトコインに興味があるのなら、海外の仮想通貨取引所を利用する必要があります。しかし海外取引所はサポート面が不安であったり詐欺が横行していたりと、国内に比べてかなり高リスクです。そのため全ての資産を海外取引所に移すことはおすすめできません。
海外取引所でのトレードに挑戦する際は、国内の認可済み取引所と併用するようにしましょう。資産の大部分を国内で保有し、一部だけを海外取引所で移すといった使い分けをすれば、リスクを最小限に抑えつつ大きなチャンスを狙うことができます。


このように取引所の複数使いには数多くの利点があります。
どの仮想通貨取引所でも口座開設には費用がかかりません。あらかじめいくつかの取引所に口座を作っておけば、投資スタイルや相場の変化に応じて臨機応変に使い分けることができます。

次章では、複数の仮想通貨取引所を使い分ける際にオススメの組み合わせ例を紹介します。

おすすめしたい取引所の組み合わせ例

仮想通貨取引所には個性があり、それぞれに得意分野やデメリットなどが異なります。
複数の仮想通貨取引所を上手に組み合わせると、お互いの短所を補ったり、長所をより生かしたりして投資をもっと有利に行うことができます。ここでは、そうした相乗効果のある取引所の組み合わせ例をご紹介します。

幅広い仮想通貨をバランス良く買うなら:bitFlyer+bitbank

人気の大手取引所bitFlyerをメイン口座として運用し、アルトコイン5種を手数料無料で取引できるbitbankをサブ的に使う組み合わせです。
ビットコインとアルトコインにバランス良く投資する場合に適している上、どちらの取引所も操作が分かりやすく使いやすいので、仮想通貨を始めたばかりの人にもおすすめです。

色々な投資方法を試したいなら:Zaif+GMOコイン

一般的なトレード以外の投資方法をしてみたい人向けの組み合わせです。
Zaifを使って堅実に積立投資を行いながら、GMOコインでビットコインFXに挑戦するという多角的な投資を行うことができます。なお、ビットコイン以外の通貨でFXをしたい場合は、7種類のアルトコインでFX取引ができるDMM Bitcoinもおすすめです。

海外取引所デビューを考えるなら:bitFlyer+Binance

リスクが高い反面、魅力的なアルトコインを多数揃えた海外の仮想通貨取引所も、上手く利用すれば投資のチャンスを広げてくれます。
セキュリティやサポート、補償に優れた国内最大手のbitFlyerをメインにし、一部の資金を多数のアルトコインを扱う中国の取引所Binanceに移して運用すれば、リスクヘッジをしながらハイリスク・ハイリターンな投資に挑戦することができます。


投資の目的や資産状況、どの程度のリスクを取るのかといった条件を考慮し、自分のスタイルに合った組み合わせを見つけてください。
次章では、複数の仮想通貨取引所を使い分けるにあたって押さえておきたいチェックポイントを紹介します。

複数の取引所に口座開設する時の注意点

仮想通貨取引所では無料で口座を作ることできるため、気になった取引所があればとりあえず口座開設をしておいて損はありません。しかしその前に、いくつか注意しておきたいポイントがあります。

ポイント1 口座開設には多少の時間がかかる

日本国内の仮想通貨取引所では、口座を作る際に本人確認ができる書類を提出することが義務づけられています。基本的には住民票や免許証などの画像データを送信すれば完了しますが、本人確認が終わって口座ができるまでには短くて数日、長くて数週間ほどの時間がかかってしまいます。
思い立った時にすぐ取引を始めることはできないので、あらかじめ時間に余裕を持ち、複数の取引所に対して同時に口座開設の手続きを進めておきましょう。

ポイント2 パスワードとメールアドレスの使い回しは厳禁

仮想通貨取引所に口座を作る際は、ログイン用にID(メールアドレス)とパスワードを登録する必要があります。これを複数の取引所で使い回してしまうと、万が一どこかの取引所がハッキングされた場合、他の口座も芋ずる式に盗難被害に遭う危険性が高まります。IDとパスワードは取引所ごとに必ず別のものを用意するようにしましょう。

ポイント3 公式からのアナウンスを常にチェック

仮想通貨業界は情勢の変化が目まぐるしいため、各取引所のサービスが不安定になることがあります。
例えば金融庁から行政指導が行われた影響で取引が一時的に停止したり、あるいは大規模なキャンペーンを行ったために新規ユーザーが殺到して口座開設まで通常以上の時間がかかったりする場合があります。
こうした不測の事態に備えるためにも、口座を開設する際には取引所の公式サイトで現在の状況をしっかり把握しておきましょう。


次章では、複数の仮想通貨取引所を使い分ける利点をコンパクトにまとめておさらいします。

まとめ

仮想通貨取引所の複数使いは、賢い投資をする上で必須の方法です。具体的には以下のようなメリットがあります。

  • 取引手数料を安く抑えることができる
  • アルトコインやFXなど投資の幅を広げることもできる
  • ハッキングや倒産などの際のリスクヘッジにもなる
  • 投資スタイルに合わせて組み合わせればより便利になる
  •  

市場が未成熟で情勢の変化が激しい仮想通貨取引において、1つの取引所だけに頼るスタイルは非効率であり、ハイリスクでもあります。あらかじめ複数の取引所に口座を開設しておき、臨機応変な取引ができるように備えておきましょう。